【ゲーム】
・planetarian〜ちいさなほしのゆめ〜

目から汗が止まらない。
こんな事態になったのは一体何年ぶりだろうか。
恐らく悲しみ以外でこれほどまでの量の汗を出したことは無かっただろう。
人生初の経験だ。

皆さんに忠告しておく。
この記事はいつものような明るい萌え記事ではない。
ついでに口調も違う。
気にしないで欲しい。

俺は鼻からも同時に大量の水分が出るほどに泣いた記憶はほぼ忘れてしまった。
泣いて涙すら拭えないほどになったことなど稀だ。

今さっきplanetarianを読み終えたわけだが、思った以上に素晴らしい出来だ。
「天国をふたつにわけないでください」
読む前はこの言葉の意味が全く理解できなかったのだが、今では聞くだけで涙が出る。
俺がどうしてそこまで泣いたのかと問われれば、その理由は前の「天使の卵」同様、
全く不確かなものとなって、うまく文字に表せない。
敢えて言うなら、ロボットであるが故の悲しみ、とでも言おうか、
ともかく感情移入した結果である。

何だかんだと言って並べ立てると、結果的にネタバレに繋がるのでやめておく。
俺もこのストーリーを読みつつ何気にラストを想像してみたりしたのだが、
結局俺が思い浮かべた結末とは違ったものになり、それはそれで感動した。
さすがはKey作品で、全ての伏線は最後にきっちりまとめ上げられている。
俺ですら2時間半ほどで終わった作品だし、短いのだから当たり前といえばそうだろう。
しかし、この作品はその短さの中にさえ凝縮した細かさがある。
上手く表現できないのが惜しいが、人間の細胞のようだと比喩しておこうか。
細胞はどこか一部が欠ければそこから壊死し始め、最終的には全体に広がる。
そんなことがないようなストーリーなのだ。

主人公の男とゆめみだけで描かれるストーリー。
30年という時の流れ。
廃墟と化した無人都市。
徘徊している自動攻撃ロボット。
人の温かみ…
そんな感じである。
前半が長く、いつまで続くかと思うのだが、それが必要だったのだ。
終末的なラストになってしまうが、万人ウケはするだろう。

とにかく、ここで熱く語ってもネタをばらさない限りこの作品の良さは伝わらない。
この作品はオタクの方のみならず、日本国民すべてにやってもらいたい。
社会が少し変わるのではないかと思う。
これを見ているあなた、今すぐ買い、そしてプレイしましょう。
あなたの価値観諸々が一新されるかもしれない。
少なくとも俺はこの作品を一通りやって、涙を流さなかった奴に
長門並みに無感情だというレッテルを貼り付けてやりたいと思っている。
そしてそいつは感情を持たないと同時に、非情な奴でもあるだろう。
あなたが普通の人間なら、善悪の判断がつく人なら、絶対に泣けるはずだ。

俺は次回プラネタリウムに行ったときどうなるんだろうか。
前回いつ行ったかすら覚えてないが。
ゆめみがいなくても、いや、いないからこそ泣けてくるんじゃないだろうか。
AIRの後の入道雲と同じ現象だろう。
この作品を読んだ後、いつかプラネタリウムに行ってみたいと思った。

泣き終わった後の感慨に浸っている間、現実に向き合わなくてすむ気がする。
泣いて鬱憤を晴らすことも出来る。
泣いて全てをリセットすることも出来るだろう。
これが泣きゲーの醍醐味じゃないだろうか。
パッケージ版3000円という安さに惹かれて買ったわけだが、今では買ってよかったと思う。
初回特典でついてきた書きおろしの小説も後々読んでみたい。
もう一度プレイしたい作品だった。